2013年3月15日金曜日

KOUZIRO,「MS Flight Simulator X」バンドルの推奨PCをモデルチェンジ 「ゲームが残すのは“思い出”と“

※ディスプレイは別売りです
 KOUZIROは,(以下,FSX)推奨スペックPCをモデルチェンジ。「FRXA7202/FS」をBTO標準構成価格14万9800円(税込)で発売した。同社直販サイト「フロンティアゲーマーズ」のほか,電話通販窓口(03-6280-0332/0820-24-2428)で販売が始まっている。



 FRXA7202/FSは,FSXとその拡張パックがセットになった「マイクロソフト フライト シミュレータ X:ゴールド エディション」を購入特典として同梱するのが最大の特徴だ。また,FSX以外のゲームもプレイできるようにということなのか,USBゲームパッドも付属する。
 BTO標準構成のスペックは下記のとおり。ハードウェア構成そのものにクセはないのだが,32bit版Windows Vista Ultimateを搭載するためか,15万円という販売価格からするとスペックは低めだ。その意味では,「DirectX 10対応のFSXをこれから始めるに当たって,せっかくなので最上位エディションのWindows Vista搭載PCを手に入れたい」という人向けのPCということになるだろう。

●FRXA7202/FS標準構成の主なスペック
     2012年12月21日,ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)は,先日サービスを終了した「」に続き,「」(以下,WYD2)と「」のオンラインRPGした。
     サービスを相次いで終了するという話だけを聞くと,「この会社は大丈夫なんだろうか」と考えてしまう人もいるだろう。そこで今回,4Gamerでは,HUEの代表取締役 CEOを務めるキム?ユラ氏と,事業部 部長の中尾圭吾氏,事業部 次長の片野 健氏の3名に,今回の3タイトルにおけるサービス終了の裏側と,2013年以降の同社の事業展開について聞いてみた。


    HUEが考えるタイトルクローズとは


    HUE 代表取締役 CEO キム?ユラ氏
    4Gamer:
     本日はよろしくお願いします。今回は,HUEの2013年の事業展開について話を伺おうと思うのですが,その前に,御社が2012年末,「アークサイン」に続いて「WYD:EPISODE II」と「HELLGATE」のサービス終了を発表したことについて,聞かせてください。「3タイトルも一気に終了して,HUEは本当に大丈夫なの?」という読者や,サービス中のプレイヤーもいると思いますので。

    キム?ユラ氏(以下,キム氏):
     企業の経営者としての本音を言いますと,一度スタートしたサービスは,可能な限り長く続けたいと思っています。しかし,企業経営はシビアですから,どこかのタイミングでサービスを終了する判断をしなければならないこともあります。今回の3タイトルは,タイミングこそ重なってしまいましたが,実はそれぞれクローズする理由が異なります。コンテンツビジネスを提供した会社として,クローズ(サービス終了)に至った理由をしっかりと開示する必要があると判断しましたので,のちほど中尾と片野からクローズになった理由の詳細を説明いたします。

    4Gamer:
     通常,オンラインゲームのサービス終了というと,3か月くらい前に告知があって,有料サービスが停止になって……あとはインゲームイベントが多少あって,という感じでひっそり進行しますよね。今回の3タイトルは,結構大々的にイベントやキャンペーンを実施する予定があったり,こうしてインタビューに応じたりと,一般的なタイトルクローズとは違っている感を受けます。どうしてこのような形でのクロージングにしたのでしょうか。

    キム氏:
     それぞれのタイトルでサービス継続の道を模索してきましたが,クローズがどうしても避けられないという結論になってしまいました。そこでクローズを迎えるにあたって,遊んでくださったプレイヤーの皆さんに何かできることはないかと考えるようになりました。それがきっかけだと思います。

    4Gamer:
     クローズするタイトルでこのようなことをすると,余計にコストがかかりますよね。

    キム氏:
     タイトルの判断基準が「成果が出ているから継続,利益が出ないから即終了」という単純な経営方針だと,短期間なら安定した利益を出せるかもしれません。しかし,そのやり方では,長期にわたるゲーム経営は実現できないのではないかと思っています。正直,まだ新しい業界ですので私自身も確証を得ているわけではありませんが,私よりも顧客に近い視点で考えているスタッフも,私と同意見のようですので,今回のような展開をする判断に至りました。
     今回クローズする3タイトルとも,数字だけ見れば赤字/失敗という結果かもしれませんが,弊社が提供したいという理想を持って運営してきたタイトルです。クローズも含めて最後まで真剣に行うのは当然のことだと思います。

    HUEオンライン事業部 部長 中尾圭吾氏
    中尾圭吾氏(以下,中尾氏):
     クローズのポリシーは代表が話したとおりです。いろいろと試行錯誤して,最後の形を考えました。これまで遊んでくださったプレイヤーさんに少しでもお返しができればと思っています。タイトルクローズは遊んでいるプレイヤーの方からすれば最悪の内容ですので,「これじゃ全然足りない」という意見になると思いますが,それでも10%ぐらいは「マシになった」と思っていただけるような内容を目指しています。

    片野 健氏(以下,片野氏):
     私は,オンラインゲームのクローズは,サービスインと同じくらい重要だと考えています。というのは,ゲームをサービスすることは“クローズする最後の瞬間までがサービスの一貫”ではないかと考えているからです。オンラインゲームが提供するのは,資産ではなく体験です。だからこそ,きちんとオチや区切りをつけなければなりません。しかし,残念ながら,今回はゲームコンテンツとして,オチまでたどり着けなかったタイトルもあります。それなら代わりにどういった体験,思い出を残せるだろうかと考えました。そこで,「我々が考える正しいクローズをやろう」という方向でまとまりました。

    4Gamer:
     そう考えた結果が,イベントやキャンペーンの実施であると。

    中尾氏:
     はい。最後まで楽しくプレイしていただけるようにゲームイベントを実施します。これは他社でも行っているところがありますが,今回は,さらにご利用されたハンビットポイントを一定の割合で還元し,ほかのタイトルでも利用できる形でお返しすることにしました。しかし,これだけでは片野が言っているようなオチには到底届きません。そこで何か思い出に残るものとして,記念グッズを提供できないか考えました。正直,予算を遥かに超過した企画を出す形になってしまいましたが,代表から理解が得られ,実現できることになりました。

    片野氏:
     この記念グッズやゲーム内イベントで提供したいのは,体験と思い出です。ですから,最後まで私達でできることを全力で行います。GMもゲーム内にできる限り駐留させて,イベントなり対話なりを行おうと。そのうえでゲームの設定やイメージにちゃんと則した記念グッズを提供し,各タイトルで体験したさまざまな思い出を,できるだけ良い形で残していただこうと考えたのです。


    開発の継続が困難,寿命,リローンチとサービス終了の理由は3タイトルそれぞれ


    4Gamer:
     それでは,各タイトルがサービス終了に至った理由などを教えてください。

    片野氏:
    HUEオンライン事業部 次長 元偉い人 片野 健氏
     まず,アークサインに関しては,いろいろ理由がありますけれども,最大の原因は“世代交代”,つまり開発チーム/運営チームとも,担当者の引き継ぎがうまくできなかったことでしょう。オンラインゲームは長期サービスが前提ですから,その中ではどうしても担当者の異動は避けられません。スタッフ各自が抱くコンセプトや,持っている技術が引き継がれないまま担当者だけが変わってしまうと,タイトルの方向性はもろくも崩れやすく,プロジェクトの継続は難しくなっていきます。
     さらに,アークサインの場合は,サービスイン当初,かなり強いコンセプトを打ち出しましたが,それが世代交代の中できちんと受け継がれることも,別の方向に変化することもなく中途半端な感じになってしまったために,以降は「らしくない」運営が続くことになってしまったと感じています。
     それは開発チームも同様で,担当者が頻繁に変更になったために,それまでできていたことができなくなったり,前の担当者でないと理解できない部分が増えていったりして,結果として技術水準が下がっていくという悪循環になっていました。

    4Gamer:
     いわゆるブラックボックス化ですね。

    片野氏:
     ええ。とくにデータベースのブラックボックス化が著しい状態でした。他タイトルの開発から人員を借りてきたり,開発会社の移管も検討したのですが,基本設計が非常に古いタイトルということもあって,ゼロから構築し直したほうが早いという最後の結論に至ってしまうような状況でした。再開発するとなれば2年ほどの期間と数儍窑钨M用をかける必要があり,それでも確実に直せるとは限りません。その投資を経てアークサインを再スタートさせても,市場や適材の有無を考えれば,商業的にペイさせるのは難しいと判断し,継続を断念する形になりました。

    4Gamer:
     そもそも,このタイトルについては,ほかに例がないくらい複雑な経緯を背負っていましたから,開発に関しては,アークサインとしてスタートする前から不安視されていた部分がありましたよね。

    片野氏:
     今だから話せますが,アークサインとしてHUEがサービスを始める以前,「ORKA」が「YUINA ?Adventure Orka?」になり,それが「CAMON HERO」になるそれぞれの過程で,ブラックボックスの肥大化が始まっていました。
     そこで,サービス開始から半年くらいは,開発チームがブラックボックスを解析する時間を稼ぐべく,運営チームでいろいろな企画をしたりもしたのですが,結果として解析は進まず,悪循環から抜け出せませんでした。最初は世界各地でサービスされていたタイトルですが,かなり前から日本以外のサービスはすべて終了となり,開発体制も縮小していました。その状況でも日本のサービスはなんとか続けてきたのですが,最終的には肥大化したブラックボックスがゲームの抜本的な部分にまで至り,先ほどの再開発も含めたいくつかの方向性を検討したうえで,これはもう無理だという結論になりました。それで,満3年となる日まで全力でやって,このサービスを終了しようという判断になったわけです。

    「ギリギリ」というキーワードでお馴染みだったが,実はサービス開始当初から開発もギリギリな状態が続いていたアークサイン

    4Gamer:
     それではWYD2についてはどうでしょう?

    中尾氏:
     母体となる「WYD」自体が10年以上前──つまり,オンラインゲーム黎明期の設計で,当時,練習用の意味合いも込めて作られたMMORPGでした。プレイヤー数は多くはなかったのですが,熱意を持ったファンの方もいてくださったので,開発といろいろな角度から拡張を検討したのですが,独自のコンセプトを持ったアークサインとは異なり,今から新しく新機軸の構想を加えるのも難しく,開発も作り込む余地のない状態でしたので,サービスを終了する判断に至りました。
     ただ,それだけ古い設計であるにも関わらず,これまでよく頑張ってくれたタイトルだと思います。長く遊んでくださったお客様にも本当に感謝しています。

    キム氏:
     オンラインゲーム黎明期と現在とでは,市場の状況も異なります。黎明期は「オンラインゲームとは何か」ということを説明しながらサービス展開していましたが,今は「何が求められていて,そこに何を提供するのか」というところが最重要になっています。そういう意味からも,WYD2は役目を終えたと,グローバルな結果からも表現していいでしょう。

    片野氏:
     WYD2は,HUEの初ローンチタイトルでしたから,ある意味,運営チームを教育するという側面を担っていました。当初は,有料サービスに展開することなく終了するということも考えていたのですが,それから6年以上,運営にいる私が言うのもなんですが,思いのほか,お客様に楽しんでいただけたタイトルでしたね。

    キム氏:
     今だから明かしますが,私が2009年にHUEの代表に就任したときには,「これは,終了したほうががいいのでは……?」と考えたことさえあります。しかし,データをよく確認して見ると,毎日毎日必ず遊んでくださるコアなお客様が思った以上にいらっしゃることが判明したんです。そこで,そういった大事なお客様を就任早々裏切るような真似はしたくないと考え直しました。

    4Gamer:
     そうだったんですか。

    中尾氏:
     実際,当時のWYD2は,運営サービスがまったく行き届いていない状態が続いており,建て直すスタッフも不足していました。しかし,現代表の就任後,別タイトルのリーダーだった私のほうに指示が降りてきました。「自タイトルの管理で余裕がないのは知っているが,せめてWYD2を最低限の運営サービスに戻してほしい」と。当時は,目の前のグラナド?エスパダの管理すら,まったく満足の行くラインができていない状態でしたので,正直,個人的に非常に厳しい指示でしたが,やる気のある新人スタッフを集めて,そのとおり対応したことで一時的には業績も回復しました。ただ,その一方で,開発面は,もうこれ以上作り込む余地がないという状況になってしまいました。

    片野氏:
     何かコンテンツを作りたくても,もう開発もほぼ終了していることを承知で購入したタイトルでしたから,日本でサービスを開始したあとの拡張は,開発チームの厚意でやってもらっている状況でした。

    中尾氏:
     タイトル単体で採算は取れなくても,これまで社内的にはかなり貢献してくれたタイトルでもあるんですよ。ですから,実際に携わった今は,終了したくないのが本音です。拡張ができず続けられないのが申し訳ないです。

    ゲームの基本設計は古いのだが,大人数での戦闘が低負荷で楽しめたWYD2。そのDNAは,「戦場のエルタ ロード オブ マーシャル」に受け継がれている

    4Gamer:
     なるほど。では,HELLGATEはどうでしょう?

    キム氏:
     HELLGATEは,文字どおり地獄でした……。ご存じのとおり,このタイトルは,もともと北米のFlagship Studiosが開発したものですが,韓国Hanbit Softに開発移管してオンラインゲーム化したものです。

    中尾氏:
     HELLGATEは,元々パッケージゲームの作りなので,開発は,まずオンラインゲーム化の作業から行うという状態でした。サーバー?通信周りの見直しと再構築やオンラインゲームとしてのデータベースの構築作業を行いました。それと並行して,日本プレイヤーに合わない洋風ゲームのグラフィックスを少しでも受け入れやすいように調整し,これは一定の成果を収めました。洋風ゲームでは意外なことですが,非常に多くの方にプレイしていただきました。
     しかし,問題があったのはゲームの心臓部であるデータテーブルの制御です。元々のHELLGATEは非常に複雑でした。追加されたコンテンツでも,ディテールの部分がどうしても調整しきれず,その後は,アップデート作業の進行自体ができない状態に陥りました。

    4Gamer:
     データベース関係はエンジニアの癖も出そうな部分ですよね。

    中尾氏:
     私も,データのテーブルを見ながらコンテンツの企画?デバッグを行ったのですが,本当に複雑な構造だったんですよね。よくこんなプログラムが組めるなと,大元を作ったアメリカのゲーム会社のスタッフに恐怖し,畏敬の念を抱いたものです。
     しかし,HELLGATEでそういった経験をしたおかげで,一般的なオンラインゲームの構造がとても簡単に見えるようになったんですよ。おそらく韓国の開発チームもそうだったんじゃないでしょうか。

    キム氏:
     ビジネス的には非常に厳しいタイトルでしたが,中尾の言うように,開発チームにもたらした影響はとても大きいタイトルでした。実は今,韓国Hanbit SoftではHELLGATEの次期バージョンの開発が進んでいるんですが……。

    4Gamer:
     今,さらっとすごい情報が出ましたけれども。

    キム氏:
     ゲーム内容については,機会を改めてお話しいたしますが,次期HELLGATE制作のきっかけは,Flagship Studiosから引き取った際に担当したスタッフ達が,HELLGATEをイチから作りたいと主張したためです。似たようなタイトルになるかどうか,ナンバリングを行うかどうかまでは決定しておりませんが,HELLGATE改修の過程で学んだことをもとに企画?開発をやっていますので,内部では「次期HELLGATE」というプロジェクト名で進んでいます。このタイトルは,本当に全力投球で開発を行っております。おそらくよい形で仕上がると思いますよ。

    4Gamer:
     話を整理すると,来るべき次期HELLGATEに向けて,現行のHELLGATEをクローズするという意味に捉えていいんでしょうか?

    片野氏:
     中尾が述べたとおり,現在のHELLGATEを拡張することは,不可能と言えるほど困難という結論になりました。次期HELLGTEは,開発チームがHELLGATEへのオマージュをもとに,1から作品を起こしているという内容だけに留めさせていただきます。先ほど,代表が話したとおり,まだ開発の真っ最中ですので,リリースが決まりましたら,また改めて,どのようなタイトルなのか案内させていただきます。

    「Diablo」の開発スタッフが作った新世代3Dオンラインゲームというウリで華々しく登場したHELLGATEは,発売後まもなくサービスが終了。その後Hanbit Softの手で完全オンラインゲーム化されたものの,追加コンテンツの供給は至難を極めたようだ


    ゲーム体験の思い出となる記念グッズをタイトルごとに用意


    4Gamer:
     それでは,各タイトルのサービス終了までの展開を教えてください。

    中尾氏:
     すでにサービス終了したアークサイン同様,獲得経験値上昇やアイテムドロップ率アップなどのイベントのほか,GMによるインゲームイベントを随時開催します。また,これまでのご利用金額に応じたハンビットポイント還元も行います。

    片野氏:
     体験の享受に支払われたとはいえ,こういう形で終わった場合をお客様の立場で考えると,使ったお金がすべて無になってしまうというのは嬉しいことではありませんし,また企業として,サービスが終わったから「はい,さようなら」というのはどうかと思うのです。HUEではアカウントを一元管理していますから,ハンビットポイントを提供すれば,サービス中の弊社のほかのタイトルを遊んでいただくきっかけにもなります。そこで今回,一定の割合でポイント還元しようと。

    キム氏:
     ここまでは,割と簡単に決まった内容ですね。

    アークサインでは,6種類のキャラクター入り缶バッジ
    WED2では,国別の色で2色のステンドグラスキーホルダー
    HELLGATEでは,地獄から生還した証のドッグタグ(※別途チェーンも付属)
    4Gamer:
     なるほど。先ほどの話では,記念グッズを提供するということでしたが。

    中尾氏:
     はい。各タイトルそれぞれに記念品として,ゲームの個性が表れた記念品を製作することにしました。アークサインでは,ユイやグレイなどお客様の思い入れの深いキャラクターのイラストをあしらった缶バッジ6個セットです。WYD2では,二つの国家を象徴するステンドグラスキーホルダーをセットでプレゼントします。そしてHELLGATEでは,悪魔との死闘を終え,地獄から生還した証として,ドッグタグを製作しています。

    片野氏:
     それを見て,ゲームのことや,そこでの思い出が蘇ってこなければ意味がないかなと,できるだけゲームの内容と関連したものにしようと,皆でかなり頭を捻りました。

    4Gamer:
     これは,どうやってプレイヤーにプレゼントするんですか?

    中尾氏:
     応募の権利は,タイトル別に100時間以上のプレイ時間か,1万円以上の課金額がある方というのを条件にしております。公式サイトに専用フォームを用意し,そこで申込み&権利の判定を行います。その後,当選した方にメールで連絡を行い,グッズを郵送するのに必要な情報を送っていただく流れとなります。
     もちろん,送料などはすべて弊社で負担いたしますので,気軽にお申し込みいだだければと思います。おそらく足りると思っておりますが,あまりにも申し込みが多かった場合には,初回の支給は抽選になるかもしれません。もし各タイトルで数千点単位で申し込みがきた場合は,全体に支給ができないことがあるかもしれません。おそらく,それはないと思いますが……。

    4Gamer:
     分かりました。それなりに負担が大きそうですが,今後,HUEでサービス終了するタイトルでも,こういった試みをしていく方針なんですか?

    中尾氏:
     今回の試みでプレイヤーの反応を見て,決めるつもりです。前例がないことですので,正直なところ,記念品などもほしいと言ってもらえるかどうか予想がついていません。あとは,ズバリですが,今後の弊社の経営が,今のように余裕があるかどうかですね。

    キム氏:
     私は継続してやっていくつもりです。一時的にはコストがかさみ,収支はマイナスになるかもしれませんが,長い目で見たときに,“クローズする最後の瞬間までがサービスの一貫”という考えを追及するなら,記念グッズのプレゼントは必要なことだと思います。今後,もっとふさわしいと思える方法があれば,それも取り入れていきたいと思います。


    2013年は好調なタイトルを中心に展開しつつ,モバイル分野にもチャレンジ


    4Gamer:
     それでは,HUEの2013年の展開について,あらためて教えてください。

    キム氏:
     お恥ずかしい話ですが,就任して3年で,やっと明確に経営方針が見えてきた気がします。もう少し体制を煮詰めていく必要がありますが,当面は現状,力を持っているRPGタイトルの運営を強化していく予定です。その中でも毎年展開が大規模になっているグラナド?エスパダは,プレイヤーの方のご支援も強く,好調ですので,さらに力を入れていきます。あとは,日本では,あまりはやっていないジャンルですが,「マイオーディションブランド」に継続して力を入れていく予定です。「」は,コアとライトの中間層に楽しい遊びを提供できるものだと思っていますので,徐々に投資を行っていく形になると思います。実績に伴った,地に足の着いた経営をやっていきたいと思っています。

    中尾氏:
     話しちゃっていいのかどうかアレですが,実はグラナド?エスパダは,ローンチ直後はプレイヤーも少なくて,月間の売り上げが数百万円ぐらいしかなかったんです。それを無料化などの施策によって,片野が引き上げ,その後は私が引き取りました。今までの展開,とくに今年の展開を通して,プレイヤー数が急激に伸び,今年やっとアベレージで儰虺à孔磻Bです。引き取った当時の私は本当にド素人でしたので,途中に何度も回り道をしていましたね……。
     最近まで,運営も数人程度でやっていたのですが,社内の人材の異動と,最近の新規採用を合わせて,スタッフも増え,二桁台にしました。しかし,基本方針は変わらず少数精鋭のフットワーク重視でやりたいので,しばらく体制を煮詰める必要がありますね。
     当たるかどうかは,正直分からないのですが,来年は宣伝ではなく,違う方向で「大規模」に動く予定です。おそらく来年の頭のほうで触りの部分はお見せできると思います。

    キム氏:
     あとは韓国T3 Entertainmentや韓国Hanbit Softなどの新作タイトルのうち,何タイトルかを日本で展開するかどうか検討しています。

    4Gamer:
     HELLGATEの次期バージョンも,その中の一つですか?

    キム氏:
     そうです。次期HELLGATEは,モバイル版も同時に開発しています。非常にいい仕上がりで,2013年に入って早い時期に正式発表できる見込みです。HELLGATEはゲームシステムも世界観も非常に優れた内容で,世界的にもヒットする可能性がありますから,韓国Hanbit Softでもあきらめることができなかったんです。

    片野氏:
     もともとHELLGATEは,パッケージゲームで最高峰の技術を駆使して作られたものです。しかし韓国の開発チームが得意としているのは,オンラインゲーム開発です。そうなると,データベースの作り一つ取っても全然違うので,韓国の開発チームは相当苦労したようです。今回,オンラインゲームとして作り直すことで,HELLGATEで抱えていた諸問題は解決するでしょうし,サービスの内容も,提供するコンテンツもオンラインゲームらしく変わると思います。

    キム氏:
     HELLGATEは,日本でも韓国でも,サービス直後の1か月は,皆さん「面白い」とおっしゃってくださったタイトルでした,ドラクエ10 RMT。しかし,開発上の困難から継続してコンテンツを提供するのが難しく,お客様にすぐ飽きられてしまったんです。次期バージョンでは万全の開発体制で臨みますので,同じ失敗は絶対にしません。これ以上の情報は,今後の発表を待ってください。

    4Gamer:
     分かりました。そのほか,今,話していただけることはありますか?

    キム氏:
     現在,片野が手がけているモバイル端末向けのタイトルですね。これも順調に行けば2013年に展開できる予定で,私は非常に期待しています。

    片野氏:
     新規タイトルをやるのであればモバイル向けだろうと,ずっとシステム設計を進めていました。はやりのソーシャルゲームと同じようなものを作っても仕方がないので,スマートフォン用にインタフェースから作っていたんです。申し訳ないですが,これ以上は,全然お話しできない段階なんです。

    中尾氏:
     片野が述べたとおり,まだ多くは話せないのですが,とりあえず,モバイルがはやっているから,モバイルをやろうというわけではないです。むしろ我々の思考回路的に,間違いなく今のガラケーのタイトルと比べると,メチャクチャ「コア」な内容になっちゃうと思います。

    片野氏:
     私自身,ほかの会社での新規タイトル構築や,この会社でのアークサインの経験から,「日本でだけうまくいく」コンテンツを作ってもダメなんだと学びました。例えば,rmt,日本人の私が韓国や中国の好みを完璧に把握するのは難しいのは言うまでもありません。それであれば,最初から現地化しやすい作りにしておかなければダメなんです。

    キム氏:
     それにローカライズしやすいように作っておかないと,細かいところでつまずくんですよ。例えば,こっちの国では豚がダメ,あっちの国では牛がダメ,また別の国では十字架がダメとさまざまな事情がありますので。国ごとに細かく調整できるようにしておかないと,うまくいかないんです。

    片野氏:
     私が手がけるタイトルに話を戻しますと,アークサインでいろいろやっていたことが,結果としてうまく流用されて生きるような内容になっています。

    4Gamer:
     よく分かりませんが,HUEでは2013年以降,モバイル専用タイトルにも注力していくわけですね。

    キム氏:
     私達は,今やっているPCオンラインゲームと同様に,一つのタイトルを長く遊んでもらえるように努力していきます。最近では,PCよりもスマートフォンに向かっている時間のほうが長い人がいるのも事実です。例えば,先日韓国でローンチしたサッカークラブマネジメントゲーム「FC Manager」では,電車に乗っている間はスマートフォンで選手の育成具合を確認して,自宅ではPCでといったように,いつでもどこでもプレイできるような環境を用意したところ,モバイルとの親和性もよかったようで非常に好調に推移しています。また同じ理由で,韓国では現在,「Audition」のモバイル版を用意しており,これも2013年の早い時期に発表できる見込みです。

    4Gamer:
     分かりました。それでは,中長期的なHUEの展望を教えてもらえますか?

    キム氏:
     HUEは,グローバルで通用するコンテンツ運営のスペシャリスト企業を目指します。日本は,オンラインゲームの開発技術では現状,少し遅れていますが,サービスに関しては,グローバルで見てもダントツで優れています。私は海外数十か国を実際に見て回っていますが,これは本当にすごい水準です。サービス面については日本から海外に輸出するのがよいかもしれません。
     Hanbit Softは,フィリピンにもオフィスを構えており,私が管理しているのですが,先日,中尾にグラナド?エスパダのグローバルサービスに関する会議に参加するために,2週間ほど出張してもらいました。
     実は,グラナド?エスパダの北米サービスでは,1年以上アップデートがなく,イベントもまったくないという状況が続いており,開発元のIMC Gamesも運営に非常にショックを受けていました。そういった経緯で,現地の運営会社からHanbit Softにサービス移管を行い,英語圏全般へのサービスを,フィリピンを拠点にして行うことになったんです。
     世界的に見ても,日本のスタッフは,非常にユニークでハイクオリティなサービスを提供しています。開発元やアメリカのプレイヤーからも日本のようなやり方でサービスしてほしいという声があったんですよ。ですから,私はHUEの優秀なスタッフには,当人の希望もあれば,継続して海外でも活躍する場を作っていきたいと思っています。

    中尾氏:
     ネットワークで提供されるゲームは,初体験の感動補正でプレイヤーに買ってもらえるのは最初だけで,最後は結局,ゲーム自体とサービスの品伽扦蝿儇摛摔胜辘蓼埂¥长欷闲瘞·扦釶Cでも同じです。海外では,それがより顕著に表れている状態ですので,この機会を活かして,少しでもグローバルの運営を学べればと思っています。

    4Gamer:
     それではキム代表,最後に今回サービス終了する3タイトルのプレイヤーと,今後のHUEに期待する人達に向けて,メッセージをお願いします。

    キム氏:
     繰り返しになりますが,私達は一度,サービスインしたタイトルは可能な限り,サービスを長く続けようと全力を尽くしています。今回は,残念ながら力及ばず,クローズという結果になってしまいますが,それでもエンターテイメントサービスを提供する企業として,プレイヤーの皆さんに喜んでいただけることはできないかと考えました。こうした一つ一つの積み重ねで,いずれ皆さんから信頼されるに足る会社になれるよう努力していきます。まだまだ至らない点が多いですが,今後もより努力していきますので,引き続きプレイヤーの皆様に見守っていただければと心より思っております。

    4Gamer:
     ありがとうございました。


     通常,4Gamerのインタビューでは,あまりオンラインゲームのサービス終了にまつわる話題は取り上げない。なぜなら,このインタビュー中で中尾氏らが言及しているとおり,オンラインゲームとはサービスが終了したら,プレイヤーには思い出以外何も残らないものだからだ。例えば有名ロックバンドの解散記者会見なら,解散ライブの告知をしたり,あるいは解散ライブ映像やボックスセットの販売をアナウンスしたりと,その後のビジネスにつながる側面が存在するが,オンラインゲームには,それもない。記念グッズを販売することは不可能ではないかもしれないが,そもそも不人気だったり採算が取れないことを理由にサービスを終了するものに対して,コストをかけても無駄に赤字が増えるだけである。したがって,事務的に終了告知をして,最終日にちょっとイベントをやるくらいがスマートと言えなくもない。

     それでもキム氏をはじめとするHUEのスタッフは,各タイトルを遊んでくれたプレイヤーに感謝の意を示したいと,インゲームイベントを企画し,記念グッズの提供を決め,その意図をこうしてインタビューにて公開した。そこには,3タイトルのサービス終了という事態から連想されるネガティブなイメージを先んじて払拭し,同社の2013年以降の展開に期待を持たせたいという思惑もあるだろう。しかし,そういうことを一つ一つ確実にしていかなければ,企業として多くの人の信頼を勝ち取るのは難しい。オンラインゲームという,実体のないデータをやり取りするサービスを提供するビジネスを長期にわたって続けるうえで,まず何を考えるべきか,改めて考えさせられたインタビューだった。

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