Sony Computer Entertainmentのプレスカンファレンスでも少しだけ映像が流れていて,密かに気にしていたタイトルがあった。PlayStation 3向けのダウンロード専用ソフトだ(発表時は“パポ?イヨ”と発音されていた)。 本作の主人公はQuicoという少年。彼は,ひょんなことから魔法によって支配される不思議な世界に紛れ込み,そこで出会ったモンスターと奇妙な友情を育みながら,時にはモンスターを導き,時には助けを受けつつ冒険を進めていく。オープンワールド型のゲームのようで,Quicoはある程度自由にマップを走り回ることできる。掲載したインゲームムービーを見れば,雰囲気を掴めるだろう。 本作はとにかくアート色の濃い世界設定が非常に魅力的だ。まるで絵本のような世界を,一人の少年とモンスターが冒険していく。とくに,街に隠されているさまざまな“魔法的な仕掛け”を作動させる様子は実にファンタジックで,世界の秘密に触れているというワクワク感を感じさせてくれる。 開発を手掛けるのは,カナダのモントリオールを拠点とするMinority。自虐的でしゃれの効いた社名だ。筆者の勝手な解釈だが,そんな社名からは,スタート地点はマイノリティーであっても,好きなモノを高いクオリティで作って世界中に届けていくぞという意気込みが感じられる。 E3 2012で公開された本作のプレイアブルデモでは,Quicoはリュックサックのようなロボット「LULA」を背負っていて,それを使って2段ジャンプができるようになっていた。Minorityのスタッフによれば,このロボットもキャラクターの1人で,人間であるQuicoとモンスター,ロボットの3人が協力しながら進んでいく物語になるという。 会場では,マップに隠された仕掛けの謎を解きつつ,実際にモンスターを導いていくという部分を遊ぶことができた。 前述のとおり,舞台となる街には魔法的な仕掛けがいくつも隠されている。マップでは,そうした仕掛けの回路(?)のようなものが,ぼんやりと光る線で描かれているのが見える。仕掛けは歯車であったり,ネジ巻きの取っ手であったり,重みで反応する地面のプレートだったりする。これらを起動させることで,なんらかのからくりが作動するようになっているのだ。 プレイアブルバージョンで最初に行ったのは,モンスターをココナッツの実で誘導するなどして,DQ10 RMT,重みで起動するプレートに乗せること。近くに落ちている空きダンボールを頭にかぶると,その内側に秘密のヒントが描かれていたりするなど,ヒントの提示方法もユニークだ。ダンボールをかぶっている様子も楽しいうえに,そんなところに世界の秘密が! という意外性がたまらない。 デモの前半でのもう一つの目的は,モンスターが越せない段差に橋を架けること。まず家を積み上げて塔を作り,それを横に倒して橋にするという仕組みだ。「何を言ってるんだ?」と思われるかも知れないが,本作の舞台はこういった強引なことができてしまう世界なのだ。なお,積み上げられる家にはネジ巻きの取っ手がついており,これを回すことで家に羽が生えて(この羽も魔法的なモノなので,白い光の線で描かれている)飛んでいき,自動的に組み上がっていった。 そもそも“積み上げられる家”に辿り着くまでの道中もパズルとなっていて,単純にジャンプなどで行ける場所もあれば,モンスターに足場になってもらわないと行けない場所もある。また,途中まで完成した橋は上下左右に動かせるので,別の家にたどり着くための足場としても機能させることができる,ドラクエ10 RMT。 そうして,10個近い家を積み上げて倒すことで橋をかけると,次のステージへと進むことができた。 次のステージは,地面のめくれ上がった部分から入ることのできる不思議な空間だ。ここでは,壁にある3つのねじ回しの取っ手をヒントに,仕掛けを起動させるという問題を解くことになる。 この問題は,カップに隠したコインを当てるマジックと同じだ。最初に正解のネジが表示され,それが一度宙に浮かび,シャッフルされて戻ってくる。3つの中から当たりのネジを回せれば,壁が開いて次に進める。これを複数回繰り返すのだ。 間違ったネジを選んでしまうと壁が迫ってきて,少年はぺっしゃんこ。……と思いきや,ここではモンスターが助けてくれる。このゲームではデッドエンド的なゲームオーバーはないようで,危ないところではこうして仲間が助けてくれたりするようだ。絵本的な優しい雰囲気は,世界で広く受け入れられそうだ。 本作は,2012年内にリリース予定とのこと。もちろん,日本でもダウンロード購入可能になるとのことだ。方向性がまったく同じというわけではないが,や「人喰いの大鷲トリコ」などの雰囲気が好きな人なら,チェックしておくといいかもしれない。
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